2013/06/27

SMALLVILLE 1x04『X-Ray』


ますます髪型がキノコなクラーク。
ロープの持ち方が、まるで乙女です。

X-Ray ; レントゲン線、エックス線。



スモールヴィル銀行。レックスは銀行にやってくるなり、口座の解約と全額現金での払い戻しを要求する。支店長は本人確認のため署名を依頼、銀行保管の署名と突合したところ、署名は不一致。不審に思った支店長が身分証明書の提示を依頼すると、ぶちぎれたレックスは支店長に銃を突きつけ、現金を奪って逃走する。

偶然通りかかったクラークは、ただならぬ形相で走ってくるレックスを心配し、声を掛けるが、眼鏡屋のショーウィンドーを突き破る勢いでブっ飛ばされる。眼鏡といえば、スーパーマンのトレードマークのひとつ。レックスの怪力無双ぶりに驚くクラーク。と前触れもなく、クラークの眼がレックスを透視。レックスの身体は、なんと骨が緑色であった。

ところかわって骨董店。店主ローズは、大量の札束の入ったリュックを発見。変身能力を持つティナが、母ローズの言いつけを破り、レックスに変身して銀行強盗を働いた。そのことを知ったローズは、血相をかえて、現金を返すとティナを叱る。金さえあれば完璧な人生を送れるとティナ。揉み合ううち、ローズが階段から転落してしまう。慌て911に電話するティナ。目の前には鏡が。何かを思いついた様子のティナ。電話を切ってしまう。

ケント家。一家はレックスの銀行強盗について話している。そこへレックス来訪。「僕も瓜二つの悪魔がいるだなんて考えただけで嫌ですよ。入っても宜しいですか?銃を持ってないからご安心を」と出だしからユーモアさく裂のレックス。どんなに窮地に陥ろうとも、常に心にユーモアを。さすがはスモールヴィルの男前ストロ

目を見開いて驚くケント一家にレックスは、アリバイを立証、事実無根であると伝える。真犯人が見つかるまで、周囲から白い目で見られる身分だというのに「今回は災難だったな」とクラークを案ずるレックス。なんとお優しい。さすがは男前ストロ。そんなレックスを慮ってかクラーク、秘儀ピュアブラックユーモアで応えます。SMALLVILLE初期は、こうしたクラークとレックスのほほえましい交流が見られて、本当に心が和む。
Lex: I promise I'm not a criminal mastermind.
Clark: I know. A criminal mastermind would have worn a mask.

ところ変わってスモールヴィル高校。体育の授業中のクラークは、またしても透視能力が発動。隣のピートの身体は人体標本状態にヒー!更には目の前の壁の向こうの、女子更衣室がスケスケ状態になり、本意か不本意か、お着換え中のラナのあられもない姿を「盗視」してしまう。鼻の下が伸びきったクラーク、トロトロの笑顔です。本当はエロい子悪い子と叱らねばならんのにチクショー!許さずにはいられなくなる、クラークのキラースマイル。

再びケント家。クラークは、突如授かった透視能力を両親に告白。「見る気がなくても(ラナの裸まで)見えちゃうんだ!」と戸惑いをあらわにする。練習を重ねれば、自分の意思で透視能力を操れるようになると、マーサとジョナサンが励ます。しかし未知の力を前に、練習しようにもその術が分からない。困惑し苛立つクラーク。

ラナ宅。ティナは訪れるなり「姉妹になって、ひとつ屋根の下に一緒に住みたい」とラナに話す。本音とも冗談ともつかないティナの告白を優しくいさめるラナ。ティナのその眼には、ラナに対する、羨望とも嫉妬とも愛とも取れる炎が煌めいている。

マーサと骨董店へと向かう途中、骨董店の玄関でティナを見掛けたクラークは、またしても透視能力が発動する。ティナの身体は骨が緑色であった。小首をかしげる可愛い子クラーク。

店内に入り、マーサとローズ(その正体は変身したティナ)の会話を、後ろ手くんで、お目目パチパチさせながら、おとなしく聞いてる可愛くて良い子クラーク。ハァでっかいのに可愛いって罪。クラークはローズに、ティナの所在を尋ねるも、当然ローズはけんもほろろの対応。ローズの態度を疑問に思うも、可愛くて良い子クラークはおとなしく引き下がり、マーサに「外で待ってる」と告げ店外へ。

マーサは偶然、ティナが隠しそびれた札束を発見する。ローズは適当な言い訳でその場を繕い、マーサが目を離した隙をついて、マーサのカバンから車のカギを抜き取る。

マーサが店外に出るや否や、猛スピードをあげて車が猛進してきた。運転手はなんとクラーク。すんでのところでマーサは逃げきる。車はそのまま逃走。そこへクラークが駆け寄る。激しく動揺するマーサ。抱きしめるクラーク。親子なのに…親子なのに…ドキドキが止まらん。

帰宅後。マーサは骨董店でのあらましをジョナサンとクラークに話す。「鍵を盗んだティナがクラークに化け、轢き殺そうとしたというのか」と一笑に付すジョナサン。クラークは母の推理を推す。透視したとき、ティナも強盗犯も骨が緑色であったと。クラークは、骨の病気を患っていたティナは、隕石落下時の影響で回復し、更には変身能力を開花させたと推察する。

犯人が明らかになった一方、いまだ透視能力を操れず、ティナの凶行を阻止できないことにクラークは悔しさをにじませる。「集中してみるのよ、望遠鏡を見るときみたいに」と助言するマーサ。そうよ、望遠鏡でラナを覗きガン見するときみたいに集中するのよ!

早速、トレーニングを開始したジョナサンは、クラークに、こぶしの中身を透視させる。見事言い当てたクラーク。ほほ笑むジョナサンに「勘だ」とにべもない仏頂面。…と見せかけての満面の笑み。キター!どぎついジョークを時差攻撃スマイルで、しれっとマイルドにしてしまう、クラークの必殺ピュアブラックユーモア。というわけで、クラークは透視能力を、自らの意思でコントロールできるようになりました。

一方、ガレージを掃除中のラナは、亡くなった母の日記を発見する。そこに綴られてた母の内面は、叔母から聞かされていた母とは程遠かった。母のように完璧な女性になろうと努力してきたラナにとって、それはあまりにつらい事実。日記の中の母は、ラナのように悩み、もがき苦しんでいた。問い詰めるラナに叔母は、卒業生代表としてラナの母が読んだ答辞について語る。

スモールヴィル高校。ラナのいでたちを完璧にコピーして、ラナをじっと待ち伏せしているティナ。事件の糸口をつかもうと、クラークは、遠くからティナの透視を試みるも、凝視する視線のレイザービームがきつ過ぎたか、ティナに気づかれてしまう。慌て立ち去るクラーク。

教室から出てきたラナに、ティナは「母が転勤することになったが、スモールヴィル高校に通い続けたいので、ラナの家に下宿させてほしい」と頼む。ティナの行き過ぎた行為に、ラナはやんわりくぎを刺す。とたん怒り狂うティナ。

怒りにわななくティナが姿を消した隙に、クラークはティナのロッカーを透視する。ロッカーの中のリュックには大量の札束が。そこへティナが戻って来た。噛みつかんばかりにキレるティナに、クラークはあくまでも平身低頭に謝り、立ち去る。

骨董店。ティナは一心不乱にラナの筆跡を練習している。そこへ保安官が。ティナは母ローズに変身する。保安官はローズに「スモールヴィル銀行から奪われた金がティナのロッカーから見つかったので事情聴取させてほしい」と話す。ローズが情報源を尋ねるも、保安官は「生徒からの匿名情報」としか答えない。何かを確信したのか、表情を一変させるローズ。

自室で、フットボール型の貯金箱を手に、透視特訓中のクラークをラナが訪れる。突然の来訪に驚くクラークに対し、ラナは「あなただけよ、本当の私を見てくれるのは」と言うが早く、クラークに迫る。思いもよらぬサプライズ接吻に、大きな瞳がさらに拡大するクラーク。さらに熱烈に唇を重ねてくるラナに、クラークもなんだかんだで受け入れ態勢になった途端、ラナがティナへと変わる。邪魔するなと警告すると、クラークを怪力で野外にブっ飛ばすティナ。

ケント一家。クラークは、隕石が骨に与えた影響で、ティナは自由に姿を変えられるばかりか、怪力を得たと分析。警察に通報しようというマーサに、クラークは「誰にでも変身できるティナを見破れるのは僕だけだ」と告げる。

スモールヴィル高校の新聞部。「スポーツはポンポンを持って応援するものではなく、自分でやるべきものである」が信念のクロエにとって、まさに天敵の、元ポンポンガールことラナが訪れる。来訪を快く思わないクロエだが、クロエの記者精神を純粋に讃えるラナに、ガードをゆるめる。ラナは母の答辞が掲載された記事を見せてほしいと頼む。ところが、母の答辞の内容は掲載不可となっていた。クロエの記者魂に火がつく。

レックスは、『インクイジター紙』の新聞記者ロジャーから、過去の補導記録ネタでゆすられる。公にされたくなければ、口止め料をよこせと脅すロジャー。

レックス御殿書斎。テーブルには札束の山が。そこへ新聞記者ロジャーがやってくる。札束を手に屋敷を後にしようとするロジャーに、レックスが背筋も凍る脅しをかける。そのドアを出れば、お前の存在を社会から抹消してやると。表情をこわばらせるロジャーは、ハッタリだろうと、携帯で銀行口座を確かめようとするも、携帯はすでに解約されており不通。恐ろしい子レックスは、更にはロジャーの情報源までも調べ上げていた。「情報源であるロジャーの兄弟はどうなるかな」とレックスがトドメの一発をかます。すくみあがるロジャーにレックスは、指示通りの記事の執筆と自動車事故の調査を命ずる。

自室で、鉛の小箱を手に透視特訓中のクラーク。とそこにラナが。またもやラナに変身したティナかと一瞬怪しむも、体内に緑色の骨は見当たらなかったようで、ひと安心。「家に帰りたくなくて、ここに来ちゃった」と無自覚ファム・ファタール再び。ラナは母の日記の発見に喜びつつも、戸惑う胸の内をクラークに打ち明ける。そんなラナを全身全霊で受け止め、包み込む安心と真心のクラーク

スモールヴィル高校。色目流し目で、ホイットニーを誘うラナ。なんだか、いつもと違う様子のラナに戸惑いつつも、まんざらでもないホイットニーは、「肌寒いのでジャンパーを貸してほしい」というラナに快く貸す。

案の定、ラナはラナに非ず、ラナに変身したティナであった。

骨董店に向かったクラーク。ドアの外から店内をくまなく透視する美しいキノコちゃんは、戸棚に隠されたローズの遺体を発見。さらに店内に侵入したキノコちゃんは、ラナの筆跡を練習した幾枚ものメモを見つける。ティナの目的がラナになりかわることにあると確信したキノコちゃんもといクラークは急ぎ、ラナを探しに行く。

墓地。ラナが父母の墓前に語りかけていると。ホイットニーから拝借したジャンパーを羽織ったホイットニー・ティナが現れ、罵詈雑言を浴びせる。困惑するラナ。ティナはホイットニーの姿から元に戻ると、ラナの首を締めあげて気絶させ、隕石ネックレスを奪うと、霊廟の柩に閉じ込める。完璧な人生をムダにするあなたの代りに、私が完璧な人生を完璧に送ってあげるとティナ。

墓地に駆け付けたクラーク。ティナは再びホイットニーに変身。隕石ネックレスをジャンパーのポケットに入れたホイットニーを前に、劣勢のクラーク。ところが燃えてきちゃったかホイットニー、ジャンパーを脱ぎ捨てた!ネックレスから解放され、クラークは一気に回復。ホイットニー・ティナを倒し、透視能力で霊廟のラナを発見。ラナを助け出す。

ラナ宅前。ティナは警察に連行され、ラナも無事に回復。「普通」への羨望と嫉妬が「他の誰かになりたい」という願望を募らせ、ティナを凶行に走らせたのだとクラークはケント夫妻に語る。そこにホイットニーが駆け付ける。熱い抱擁を交わすラナ。クラークはその様子を切なげな眼差しで見つめる。肩を寄せ合い、ラナとホイットニーがラナ宅へと入っていく。好奇心に駆られたクラークは家の中を透視する。そこには愛しあうラナとホイットニーの姿が。
Clark: Mom, if you could see anything, what would you do?
Martha: Learn to close my eyes.

雨降りしきる夜。ラナは車の中で、クロエが発見してくれた母の答辞のテープを聞いている。型破りだが勇猛果敢な母のスピーチ。愛おしくも誇らしく聞き入るラナ。雨は、ラナの感涙の涙であると同時に、悩みもがき苦しむラナの心を解きほぐす慈雨であったに違いない。

***

個人的に最も心臓に悪かったのが、クラークがマーサのお買い物について来ていること。普通ならば反抗期まっただ中である高校生の男の子が!しかもこんなに美麗な男の子が!「15の夜」も反抗心もゼロに、いそいそとお買い物について来てくれるだなんてママ、もう平常心とか絶対に無理。

今エピでは、クラークとレックス、それぞれが内に秘めたる思いや闇が少し明るみになりました。
ティナの凶行にクラークが理解を示すことが出来た理由としては、クラークの共感力や慈悲のみならず、クラークと重なる部分があったことも大きいでしょう。特別な力はひた隠しにしなければならないのか。愛する人と全てを分かち合うことはできないのか。今エピではクラークの「普通」への強い願望がティナに投影されていると思います。
一方レックス。脅しをかけてきた人間の急所を掴み、ゆすり、自分の働き蜂へと変貌させました。常々、父を憎み、父を反面教師とし、父のようになるものかともがき続けているレックスですが、やはり骨の髄までしみついた、ルーサー一族の「血」からは逃れることはできないのでしょうか。