2013/05/24

SMALLVILLE 1x01『Pilot』


貴方に逢いたくって来たんだけど…
お邪魔だったならいいの。わたし、帰るわ。

っと思わず超訳せずにはいられない、クラークの美しさ。


今回の教訓;美青年は、ダサいパンツでも美青年。



1989年10月。カンザス州スモールヴィル。
街は、スモールヴィル高校アメフト部の優勝に湧いていた。そんな祝賀ムード一色の平和な街に、無数の隕石群が落下する。突然の大惨事に、恐怖と混乱に陥る市民たち。父ライオネル・ルーサーの商談に連れられ、スモールヴィルへやって来たレックス・ルーサーは、大量に落下した隕石による何らかの影響により、頭髪が全て抜け落ちてしまう。ラナ・ラングは、隕石の直撃により、目の前で父と母を失ってしまう。車で帰宅中のケント夫妻は、つぎつぎと飛来する隕石を避けて車が横転、そこで生まれたての姿の幼い男の子を発見する。愛くるしい無邪気な笑顔を夫妻にむける男の子。近くには謎の宇宙船も落下していた。長年、子供を授かることを夢見てきた夫妻は、身元不詳のこの男の子を引き取ることにする。

***

時は流れて現代。
12年の年月を経て、かつての愛くるしい男の子は、スチュワーデス物語の命台詞そのままに、周囲から「ドジでのろまなカメ」呼ばわりされてるけれども、その実、やたらめったら眉目秀麗で筋骨隆々で身体の3/4は脚で、冴えに冴えまくった美貌という、ちっとも評価と見合わない見目麗しい高校1年生の男の子に成長。そんな美しい男の子あたらめクラーク・ケントは目下、お向かいさん宅のラナに片思い。だが悲しいかな、何の因果か、ラナの半径1m50cm以内に近づくと、吉本新喜劇ばりの身体を張ったボケをかまし身体の具合がすぐれなくなってしまう。でもボケればボケるほど愛おしさ倍増のクラーク。そう、美しけりゃ何やらかしたって可愛いくまとまるんです。

Lana: Nietzsche. Didn't realize you had a dark side, Clark.
Clark: Doesn't everybody?
Lana: Well, I guess so. So, what are you, man or superman?
Clark: I haven't figured it out yet.




***

隕石群の影響で、頭髪を全て失ったレックスは、ニヒルなんだけど、どこか母性本能をくすぐる、恐ろしくダンディなハゲメンに成長。スモールヴィルにある父ライオネルの子会社で、採算の見込めぬ『第3科学肥料工場』へ左遷され、因縁の地スモールヴィルの土を再び踏むこととなった。社の視察後、ポルシェの911カレラを時速100キロで疾走させるレックス。
一方、自室の望遠鏡でお向いさんのラナをのぞき見したり、チアリーディングの練習中のラナを遠巻きにうっとり眺めたりと、爽やかにラナをスト―キングするも、一向に実らぬ恋心に悶々とし、下校途中、橋の欄干で、ひとり物思いにふけるクラーク。

爆走中のレックスの携帯に着信が。レックスが携帯に気を取られた瞬間、目の前にはトラックから落下した積荷が。慌ててレックス、ハンドルを切るも時すでに遅し。レックスの車はクラークに激突。レックス、クラーク、川に落下。万事休す。しかし、車に激突されたはずのクラークは無傷。そればかりか、車のルーフパネルを素手でベリィっ!とひきはがすや、車中に閉じ込められていたレックスを救出。クラークは、レックスに胸骨圧迫と人工呼吸を施し、レックスの命を助け、そして私の心臓を心肺停止にした。

***

人づてにお向いさんのクラークが人命救助をしたと聞いたラナは、クラークへの評価を新たにする。ラナのその言葉にものすごく分かりやすくジェラシーなラナ彼もといホイットニー。ものすごく分かりやすくラナの気をそらそうと「今度の試合に、カンザス州立大学のスカウトが来る」と話すホイットニー。ラナは彼に、お守りとして、肌身離さず身につけているネックレスを手渡す。それは両親を襲撃した隕石で作られたものであった。

Lana: So much bad luck came out of it. There can only be good luck left.

***

その頃、12年前の隕石群落下の、まさにその日、「今年の案山子」(アメフト部が毎年、新入生を畑でパンツ一丁にして柱にくくりつけて置き去りにするという、悪夢のイベント)に祭り上げられた、もやしっ子青年が、かつてのアメフト部員たちに制裁を下していた。もやしっ子青年の風貌は、12年前と全く変わっていなかった。てか12年前から高校生には到底見えない風貌だった。なぜ彼は12年前のままなのか。なぜ彼は12年前から老けていたのか。なぜ彼は元アメフトの屈強な人間をいともたやすく倒せるのか。謎は深まる。

***

学校から帰宅したクラーク。その目の前には新車のフォード・エクスプローラーが。驚きと喜びを隠せぬクラークに母マーサは「レックスからの御礼」だと伝える。しかし、ルーサー一族、取り分けレックスの父ライオネルに良い印象をもたぬ父ジョナサンは、車を返すようクラークをいさめる。そうすることが普通だと。

Clark: So you're judging Lex on what his father did?
Jonathan: No, Clark, I'm not. I just want to make sure that you know where the money came from that bought that truck. Clark, I know you're upset, son, but it's normal.

クラークは父ジョナサンの「NORMAL」の言葉に敏感に反応する。時速100キロ以上は出していた車にはねられても無傷、脱穀機に手を突っ込んでも無傷。それのどこが「NORMAL」なのだと。普通になりたいと切々と訴えるクラークに、父ジョナサンは「時が来た」と覚悟を決め、クラーク出生の秘密を明かす。クラークは地球人にあらず、12年前、遠い惑星から隕石群とともに宇宙船でやってきたのだと。衝撃の真実を前に、激しく狼狽し、超人的スピードで家を飛び出すクラーク。

Clark: Wait. This is a joke, right? Why didn't you tell me about this before?
Jonathan: We wanted to protect you.
Clark: Protect me from what? You should have told me!

***

クラークが行きついた先は墓地。そこには亡き父母と「話」をしにラナもやって来ていた。父母の墓前にクラークを連れていくとクラークを父母に「紹介」するラナ。亡くなった両親と会話を交わすというラナの気持ちを軽視せず、誠心誠意をもって受け止めるクラーク。安心と真心のクラークに、自然、心を開くラナ。互いの胸の内を打ち明け、心の距離を近めるクラークとラナ。

Clark: What's that, Mrs. Lang? Yeah, I'll -- I'll tell her. Your mom wants you to know that you're never alone, that she's always looking over you, no matter what. What's that, Mr. Lang? Your dad thinks you're a shoo-in for homecoming queen.

墓地からの帰路、ダンスパーティーには行かないと言うクラークに「もし、気が変わったら、私とも踊りましょ」と誘い、クラークにお休みのキスをするラナ。恐るべし無自覚ファム・ファタール。その様子をジェラシーむき出しの眼差しでジィっと見つめるホイットニー。




***

孝行息子クラークは、結局は父の意向に逆らわず、車を返しにレックス御殿を初訪問。感謝の意を述べつつ、車のキーを手渡すクラークに、友好を温めていきたいと告白するレックス。

Lex: Clark... do you believe a man can fly?
Clark: Sure, in a plane.
Lex: No, I'm not talking about that. I'm talking about soaring through the clouds with nothing but air beneath you.
Clark: People can't fly, Lex.
Lex: I did. After the accident, when my heart stopped. It was the most exhilarating two minutes of my life. I flew over Smallville, and for the first time, I didn't see a dead end. I saw a new beginning. Thanks to you, I have a second chance. We have a future, Clark... and I don't want anything to stand in the way of our friendship.

ここで、のちのスーパーマンであるクラークに「人間は空を飛べるだろうか」と質問するレックス。先の「貴方はヒト?それとも超人?」のラナのくだりしかり、このエピは粋な台詞が多くて楽しい。

***

街で起こる不可解な事件に記者魂を燃やす新聞部のクロエ。クロエは、同じく新聞部のクラーク、ピートとともに、事件現場に居合わせた謎の青年について調査を進めていく。謎の青年ことジェレミーは電解質の異常により12年間、不老のまま昏睡状態であったことが判明。落雷でダウンした病院の発電機から身体に電気が蓄えられたことで青年は意識が回復、超能力を身につけ、12年前に自らを「今年の案山子」にしたアメフト部員たちを襲撃していたと推察する。
隕石群による超能力取得をいぶかしがるクラークに、クロエは、隕石群落下の日からスモールヴィルに起こった数々の怪事件の記事を張り付けた、通称「超常現象の壁」を見せる。その壁によりラナが両親を失った原因が隕石、つまり自分にあったことを知るクラーク。

Clark: Lana? My fault. It's all my fault.

矢も盾もたまらず学校を飛び出したクラークを、ジェラシー・ホイットニーが急襲。ホイットニーが近づいた途端、具合を崩したクラークに、ホイットニーは、クラークの急所が「ラナからお守り代わりにもらったネックレス」にあると気付く。首に下げていたネックレスをクラークに付けると、「今年の案山子」にすべくクラークを畑へ連行するホイットニー。

***

スーパーマンの象徴とも言うべきピッチピチのブリーフではなく、丈ながすぎトランクスで、なんだか垢抜けないトコが、まことにクラークらしいクラークは、その筋肉美を惜しげもなく披露しつつ、デカすぎるトランクス一丁で柱にくくりつけられている。そこへくだんの青年ジェレミーが。隕石ネックレスの影響で弱り果て、身動きが取れず、助けを求めるクラークに対し、ジェレミーは「ここに居れば安全だ」と言い残し、クラークをパンツ一丁で柱に放置したまま、ダンスパーティーに盛り上がるスモールヴィル高校へと向かっていく。

会社近くを走行中、12年前の大惨事の際に出くわした「案山子の青年」もといジェレミーを見掛けたレックス。当時とそっくりそのままの姿の青年を不審に思い、車を降りるレックス。だが、そこに青年の姿は見当たらなかった。しかし、畑の中から助けを求める声が。駆け付けると、そこには、恐ろしくトランクスが不釣り合いな美青年クラークがパンツ一丁で柱にくくりつけられていた。なぜだろう。どうしても強調せずにはいられない「クラークのパンツ一丁」。レックスは韋駄天走りにクラークを救出。柱から落下した衝撃でネックレスが外れたクラークは一気に復活。柱の近くに捨ててあった服を拾うと、ジェレミーの暴走を阻止すべく、放置されていた衣服をパンツ一丁でかき集め、学校に急行。「家まで送るよ」とクラークに声を掛けるレックスの、美しいツルツル頭は月明かりに映えつつも、その声は走り去るクラークの背中でむなしく響いていた。母性本能をくすぐるレックス。

***

ダンスパーティ会場では、キングとクイーンと選ばれたホイットニーとラナ、そしてピートとクロエが楽しく踊っている。会場の外には、会場内全員を水浸しにした上、感電死させようと目論むジェレミーが。そこへ急行してきたクラークはジェレミーの説得を試みる。凶行に走ろうとするジェレミーを、その怪力ですぐさま制止しようとはせず、あくまでもジェレミーの気持ちに寄り添い、彼を説き伏せようとするクラーク。クラークはジェレミーの凶行を見事に阻止。一方、自ら能力の暴走により、能力はおろか記憶をも失ったジェレミーが「家に帰りたい」とつぶやく。そんなジェレミーを糾弾することなく、包み込むような笑顔で見守るクラーク。自分を「今年の案山子」に仕立てた悪い子ホイットニーを含め、会場のみんなを「my friends」と語る子クラーク。もはや菩薩の域。

Clark: Jeremy. You need to stop this.
Jeremy: I don't know how you got here. You should have stayed away.
Clark: I won't let you hurt my friends.
Jeremy: Those people in there aren't your friends. The sprinklers will get them nice and wet. I'll handle the rest.

クラークはパーティー会場に駆け付ける。そこにはホイットニーとキスを交わすラナの姿が。クラークは独り会場を後にする。

***

帰宅後、クラークが部屋で望遠鏡で眺めていると、部屋にラナが訪れる。ラナの思いがけない来訪に驚きつつも、彼女とひとしきりダンスを楽しむクラーク。ふと我に返ると、そこにラナの姿はなかった。ラナは彼が描いた「幻」だったのだ。ホイットニーの車に送られ、家に帰宅したラナの姿に、踊ってくれてありがとうと呟くクラーク。その声が届いたのかどうか、ラナは振り返ると、そっと優しく微笑んだのだった。


***

記念すべき『SMALLVILLE』初回。

地球の救世主・スーパーマン。彼は生まれたときから「スーパーマン」だったのではなく、無償の愛で優しくも厳しく育ててくれた両親や、かけがえのない友達に、支えられ励まされ育まれ、そして幾多の試練を乗り越え、己の歩むべき道を悟ることで、スーパーマンへと成り得たのです。その過程をつぶさに描いたのが、本作『SMALLVILLE』。

初回では、そんなクラークの、まことにシャイな一面と、シャイすぎるあまり、爽やかストーカーになっちゃってる一面が明らかになる一方、人を見た目や家柄で判断せず、その人のありのままを受け止める心の広さ優しさ、思いやりの深さ、そして揺るぎない正義感が描かれていて、おまけに「モーグルできんじゃね?」クラスの、モリモリ割れまくったシックスパックをクラクラしつつ拝めちゃったりと、もうお腹がイッパイのエピでした。

Season序盤では、唯一無二の親友にして、のちに袂を分かつことになるレックスとの、疑惑も邪念もない純粋な信頼関係が描かれています。のちの壮絶な展開を知っているだけに、何度観ても涙腺の決壊が止まりません。

次回は「美しすぎるきのこちゃん・クラーク」が大活躍のエピです。